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Session1. 【アゴラ】渡瀬裕哉氏に聞く、トランプ政権とアメリカ経済の行方│第6回 世界の資産運用フェア パネルディスカッションレポート

世界の資産運用フェア

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Session1. 【アゴラ】渡瀬裕哉氏に聞く、トランプ政権とアメリカ経済の行方│第6回 世界の資産運用フェア パネルディスカッションレポート

「第6回 世界の資産運用フェア」 パネルディスカッションレポート

Session1. 【アゴラ】渡瀬裕哉氏に聞く、トランプ政権とアメリカ経済の行方

■開催日時:2017年8月26日(土) 10:00〜10:30(30分)
■開催場所:大手町サンケイプラザ4Fホール
■モデレータ:内藤忍
■ゲストスピーカー:渡瀬裕哉氏
■レポーター:ひだまり


 

朝一番のセッションであるにもかかわらず、開場前から多くの方が聴講に詰め掛け、立見席までできた。これほどの盛況を博したのは、アメリカ経済、すなわちドルの動きに対し、高い関心があることも一因だが、大部分は、このセッションのゲストスピーカーが、「本当の」アメリカ経済を伝えてくれる、渡瀬裕哉氏であったことが大きい。

渡瀬氏は、2年前くらいからトランプ大統領誕生を論理的に予想していた。本セッションでは、同氏がどのようにアメリカ経済を分析しているのか、モデレータの内藤忍氏が切り込んだ。
会場に詰め掛けた方々は、ポイントポイントでメモを取りながら、渡瀬氏の話に真剣に聴き入っていた。

—「トランプ大統領誕生」はなぜ的中したのか?

内藤氏:日本の主要メディアが紹介するアメリカ政治の専門家は、実際の情報収集があまり出来ていない?
渡瀬氏:そうですね。日本の主要メディアなどで、アメリカ政治の第一人者といわれる方でも、アメリカ保守派の大会に一度も出席をしたことがないにもかかわらず、専門家という肩書きで解説している。
例えば、専門家に「先日、補欠選挙がありましたよね?」と振ったところ、「あぁ、ロードアイランドの補欠選挙では、こうだったよね~。」という返答だったが、実際にロードアイランドでは行われていなかったというエピソードがある。彼らは、断片的な情報しか持っていない。

内藤氏:日本の見方には、バイアスがかかっている?
渡瀬氏:そうですね。反リベラル、反共和党、反トランプのバイアスがかかっている。
基本的にメディアで共和党の政権について語っている方が持っている情報は偏っており、主要メディアはほとんど事実を捉えていない。

内藤氏:実際は日本でいわれているほど、トランプ大統領は酷くない?
渡瀬氏:アメリカは完全に2局化しており、リベラルな民主党支持者の「ネガティブトランプ」層と、共和党支持者の「自分達の大統領だからOK」層がある。
2層あるにもかかわらず、日本の主要メディアはリベラルなので、アメリカのリベラルな情報を丸写しして伝え、保守系メディアの意見をほとんど伝えていない。

内藤氏:保守系メディアの意見はアメリカの半分くらいの論調?
渡瀬氏:半分以上になってきている。例えば、大統領選において、アメリカの世論調査では、ヒラリー氏とトランプ氏は、誤差の範囲内だった。特に勝敗を決したフロリダでは、トランプ支持層が結構広まっていることはわかっていた。

内藤氏:大統領選では、トランプ氏が正しい戦略を行い、ヒラリー氏がやり方を間違えたということ?
渡瀬氏:トランプ氏が戦略的に正しかったか否かより、「共和党の嫌われ者:トランプ氏」「民主党の嫌われ者:ヒラリー氏」という構図の中、ヒラリー氏はイヤだという層を取り込めたことにある。
トランプ氏が勝ったのは、隠れトランプ支持者が存在していたわけではなく、普段オバマ氏を支持していた民主党員が大量棄権したということと、第3党のアメリカ緑の党やリバタリアン党の支持者で、ヒラリー氏はイヤだなという人たちが流れた結果である。
隠れトランプ支持者という存在は、メディアが自分達の嘘を、国民が嘘をついていたと主張するための虚像にすぎない。

—トランプ大統領は右派?左派?

渡瀬氏:左派メディアは、トランプ氏を保守だとしている。例えば、就任直後に話題になった入国禁止令においても、左派メディアは、ムスリム教徒の入国禁止令と伝えていたが、共和党は、もともと(対象国は)テロリストが多いので、渡航制限をしていた。
左派メディアは、後者の情報は全く出さずにもみ消した形。
トランプ氏は、日本人が思っているほど、極右ではない。共和党の中では、一番民主党に近い人だそうだ。
トランプ氏は、ニューヨークの富豪なので、リベラルな考え方で育ってきている。共和党の保守派の大会で、「僕は、バーニーサンダースが大好きだ。」といって帰ったという。
トランプ氏がリベラルなことは、家族を見ても判る。クシュナー氏にしても、イバンカ氏にしても旧民主党員だそうだ。

トランプ氏は、日本で言う、石原慎太郎氏ではなく、河野洋平氏のようなイメージ。
日本人が抱いているトランプイメージは、メディアによって歪められている。
副大統領のペンス氏にしても、日本の報道ではバランス感覚があって良いといわれているが、アメリカ保守系では、コテコテの右派とされている。
ペンス氏は、大統領選共和党候補者選びでは、テッド・クルーズ氏を支持していた。テッド・クルーズ氏は、新自由主義を支持しており、商務省廃止論者(商務省廃止論:経産省廃止論に相当)で、トランプ氏とはまったく逆の考え方をしている。彼は、規制排除をしていきたいと考えている。

—トランプ大統領の発言は秋の空?

渡瀬氏:トランプ大統領の発言がコロコロ変わっているように見えるのは、その都度、その都度、自分が一番必要だと思っている支持者向けのリップサービスを繰り返す人だからだ。例えば、共和党の予備選中は、共和党員の支持を得るべく、メキシコとの国境に壁を立てるとか、ムスリムの入国制限をするとか主張していた。
本選では、ムスリムへの批判はなりを潜め、自身のツイッターに、「僕はトマト(エジプト料理に欠かせない食材)が大好きだ」と投稿し、大統領選が終わったら、再び、入国禁止令を発令している。 ホワイトハウス内の采配においても、共和党の保守派とリベラルな人達のとの間で、一旦、優秀な方に「やってみろ」とやらせてみて、「失敗したら、お前のせいだ!」と、もう片方にBet、また元にBet・・・戦略的というより、その都度、支持基盤向けに発言をしている。

—米国の現状の政権の問題点

渡瀬氏:米国の現状の問題点は、政権運営が安定しないことだ。減税等は、議会が決定していく事柄なので、議会との関係が大切だ。
バノン氏を切っても、保守派は今までの経緯があるので、リベラルなトランプ大統領を応援しない。現在、共和党の人たちは、トランプ大統領を応援しているのではなく、共和党の大統領を支えるという観点で動いている。そういう意味で、バノン氏を切るということは、「トランプ大統領でなければ困る」という勢力が一つなくなるということになる。結果として、トランプ大統領を支える柱が減り、どんどん政権は不安定になる。

—政権運営は安定するか?

渡瀬氏:政権運営が安定しているか否かの判定は、政治任用数のスピードに注目してみるといい。
現在、連邦上院の承認を受けた人数が124人であり、オバマ政権時の半分くらいしか進んでいない。
これは、トランプ政権が、既存のワシントン政治の弊害排除を掲げたことから、政治任用職への採用の厳選化を行ってきたため、なかなか政治任用が進んでこなかった背景がある。
今回、バノン氏らの勢力が完全に一掃されたことで、今後は既存のワシントン政治界隈から人材を採用していくことが可能になった。
既存の反トランプ派のリベラルな人材や共和党主流派人材が政権ポストに就任することを受け入れた場合、すなわち、保守派がトランプ大統領を応援する姿勢を示した場合、政治任用が進んでいく。
今後、これが進まなければ、政権運営は安定しないと判断できる。
この先、「トランプ大統領でなければ困る」という、もう片方の勢力「トランプ大統領が任用した親族とお友達」を守りきれるかがカギとなる。
トランプ大統領は、ロシアゲートの問題でクシュナー氏を外さねばならなくなった。今後イバンカ氏を外さねばなくなったとき、議会に弾劾されることもありうる。

—トランプ大統領の任期中退任の可能性は?

渡瀬氏:米国の弾劾裁判制度は、下院の司法委員会が訴追勧告を行い、下院が訴追決議を行った後、上院で裁判、上院出席議員の2/3多数の賛成で弾劾を決定という流れである。
トランプ大統領にとって、バノン氏を切ったことは大きい。飛車・角の飛車を落としたようなものだ。
「トランプ大統領でなければ困る」は、ごく少数となり、崩壊の序曲が始まったといえる。
弾劾プロセスにおいて司法委員会は重要だが、トランプ大統領は既にメンバーに喧嘩を売ってしまっている。
下院の司法委員会は、現在、共和党の大統領だから・・・という理由で、訴追勧告を踏みとどまっているにすぎない。
司法委員会の砦を守れなかったら、ニクソン大統領のようになる可能性はある。
ちなみに、トランプ大統領が退任となった場合、副大統領のペンス氏が繰り上がるが、本来は大統領にならない方なので、いずれのシナリオにおいても、米国は落ち着かない状況は続くだろう。

—米国が北朝鮮に先制攻撃を行う可能性は?

基本的に米国に対し、北朝鮮が軍事衝突を仕向けることはない。
トランプ政権内で、対外不介入派のバノン氏が更迭されたことで復権しつつあるネオコン勢力は、主に対中東、対ロシアの人たちである。
例えば、マクスター氏はシリアへの攻撃を主導したので、彼らのメインターゲットは、対中東、対ロシアと考えるのが自然だ。
そもそも、共和党の人たちは北朝鮮に関心がない。北朝鮮が何かしてこれば、対応はするが、米国が積極的に北朝鮮に関わる余裕はない。
支持率上げるために北朝鮮に攻撃するという論調には無理がある。北朝鮮が戦争を仕向けるには、資金的にも石油的にも、まだまだ時間がかかる。

いま、北朝鮮問題に対し、「アメリカが攻撃を仕掛けるんじゃないか?」という人たちが多数いるが、完全に売聞屋なので、まったく相手にする必要はない。


この日、初めてお会いした渡瀬氏は、とても物腰の柔らかく、誠実で優しい口調の方だった。
ご自身の情報収集方法について伺ったところ、「私の情報源は、8割が公開情報ですよ。例えば、ウォールストリートジャーナル、保守系財団(ヘリテージ財団)発行のメルマガ、Politico、ツイッターなど・・・」と、情報源を快く教えてくださった。
もちろん、これらの情報から細部のニュアンスを読み取る、渡瀬氏の能力が抜きん出ていることは間違いなく、多くの人が出来ることではない。
ただ、このレポートをお読みの方も、日本のマスコミが発信する情報を鵜呑みにせず、要所要所で「生のアメリカ公開情報」を確認することは、投資に有益な情報を得るきっかけになることだろう。

ちなみに、「ズバリ、年末に向けてのドル円の動向は?」とお伺いしたところ、「(アメリカ政治が落ち着かないし)円高に向かうと思います。当たらないかもしれないですよ。」と、お話してくださった。今後の動きに注目したい。 (レポーター:ひだまり)

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